こんにちは、にんじんです。
私は28歳のときに新卒から約4年間勤めた会社を辞めました。
この記事を書いている時点で約1年が経過したので、率直な感想を書き残しておきたいと思い、まとめてみることにしました。
というのも、私自身、転職に踏み切るまでは紆余曲折あり、当時悩んでいたときには先人たちの経験談を読ませていただきました。
いわゆる”退職エントリ”というやつですね。
特に、自分に似た境遇の方の経験は非常に参考になる貴重な情報でした。
そこで、私の経験もどこかで誰かの役に立てば、という気持ちもあります。
この記事を読んでほしい人:
- 大企業に勤めているが辞めたいと感じている方
- もう総合職として働きたくない方
- 自分に合った環境でのんびり働きたい方
- 中小製造業に興味のある方
もしかしたら、参考になる部分があるやもしれません。
バリバリ働いてガンガン稼ぎたい方や、ベンチャーに転職して自分の力を試したい方など、仕事に対して意欲的な方の参考にはなりませんのでご承知おきください。
前提情報
簡単な自己紹介
工学部出身の理系。
大学院修士課程を修了し、総合職(技術)として就職しました。
妻と二人暮らし。
新卒で入社した会社について
- 東証プライム上場の大手メーカー
- 社員数は数万人、同期入社は数百人
- 日本全国、海外にも勤務地あり
就活当時は、大企業の総合職以外の選択を考えたこともありませんでした。
理由はいくつかありますが、研究科の推薦を利用したことと、周囲も皆大手に就職するのが当然の環境であったことなどが挙げられます。
もしやり直せるなら、違う道を選ぶことでしょう。
転職した会社について
- 中小メーカー
- 社員数は十数人
- 工場勤務
転職活動にてご縁があり入社。
前職とは業種以外に共通点なし。業界も全く違います。
大企業から中小企業に転職して得たもの
心と時間のゆとり
前職でストレスを感じていたものが減り、全体的にゆとりができました。
具体的には、以下のような事柄です。
毎朝のミーティングと業務進捗確認
これは普通にある会社が多いと思いますが、正直嫌でした。
毎日毎日、「今日は何する」「どこまで進んでる」だの・・・
自分から仕事を見つけるとか、他部門の人を巻き込むとか、業務適性がなく意欲もない私にはただの拷問の時間。。。
隣で働いていた、毎日ある程度決まった仕事をこなす一般職が羨ましくて仕方がありませんでした。
毎週決まって開かれる報告会議
大企業あるある、毎日のようにある定期会議。
会議が終わった瞬間から、次の会議の内容を探す日々がストレスフルでした。
定時になっても誰も帰ろうとしない職場の雰囲気
世の中みんな働きすぎでしょ。
私もMAX60時間くらいは残業したことがありましたが、ギリギリでした。
上司も同期も後輩も、何が楽しくてそんなに働いているのかずっと疑問でした。責任感?義務感?
後半はずっと残業ゼロにしてやりましたよ。
半強制的な昇格
他社の友人と話して知ったところによると、会社によってかなり文化が違うみたいですが。
数年おきに昇格試験を受けさせられ、そのたびにテストやら面接対策やらで時間を取られ・・・
受けないという選択肢はないくせに、業務外だから残業時間から引けとは、これ何ぞ。
定時後に予定を入れられた分は全部残業申請しましたよ。それって業務命令ですよね。
社内や地域のイベントへの強制参加
社員の交流と題した季節ごとのスポーツ大会。
若手は全員参加とか、そういうノリになじめませんでした。
異動が多いがゆえに歓送迎会も頻繁。コロナで無くなった間は平和でした。
- 全体ミーティングは週明けのみ
- 定期的な会議なし
- 定時になったら帰る
- イベント、飲み会なども任意参加
適度な距離感で、楽に過ごすことができています。
希望する業務内容
私は、大学の研究室時代のように、自分の手を動かしてものづくりがしたかったのです。
しかし、その希望を叶えることはできませんでした。前職は規模が大きすぎるがゆえに、自分で作業をすることができませんでした。
やることといえば、試験計画を立て、関係者に説明し、結果の分析依頼をし、出てきたデータをまとめて報告。
ほぼ書類仕事と会議、あとは現場の立会い(見学)。
現場で作業をするとか、分析機器を操作するとか、そっちの方が100倍くらい面白そうに見えました。
条件を考え、実際にものをつくり、分析や評価まですべて自分の手で行える環境になりました。
職探しをしているときも、この点は妥協しないように探したつもりです。
大学の専攻とは関係ない畑違いの分野で苦労はありますが、後悔はありません。
充実したプライベート
前職では全国転勤が当たり前で、配属先によって住む場所が変わります。
特に製造業の工場は田舎にあることが多いので、仕事以外にすることが無くなるなんて人も。
また仕事にストレスを感じていると、プライベートでも気持ちが沈んでしまうこともあります。
そんな状態で何のために働いているのか、生きる意味を見失ったことも。
住みたい場所を先に決めてから転職先を探しました。
その結果、希望した地域で、住みやすくて快適な環境をゲット。
車を手放し、徒歩と自転車で生活が完結。
休日も趣味を楽しみやすく、プライベートの満足度は格段に向上しました。
大企業から中小企業に転職して失ったもの
高い給与(特にボーナス)
異業種未経験での転職ですし、企業規模が大きく変わるので当然給料は減ります。
月収は10%くらいダウン。とりわけボーナスが大幅に減りました。
今後も大きく増えることはないと思います。年収一千万円なんて手にする日は二度と来ないでしょう。
ですが、今のところ困っていないので別に問題ありません。
もちろんお金はあれば嬉しいですが、それほど必要としないタイプの人間なので。
充実した福利厚生
社宅や保険の団体割引、カフェテリアプランなど、給与以外でも大きな恩恵を受けられるのが大手の特権。
見えにくいですが、可処分所得に大きく関わってきます。
中小企業ではあまり期待してはいけません。
住居費の負担増は大きく、貯蓄ペースは明らかに落ちました。
潤沢な予算と規模の大きい仕事
ものづくりは、試作にも分析にもお金がかかるものです。
前職では依頼するだけだった分析が、お金がかかる貴重な作業であることを実感しました。
試してみたいけど、予算の問題がーなんてことも。
また、業務の中で取扱う金額のスケールも大きく変わりました。
以前であれば、プロセスの改善や性能の向上で数百万~数千万円の利益が出るなんてことはザラでした。今ならゼロが1つ2つ減ります。
前職では、「スケールの大きい仕事がしたい!」という情熱を持った方が数多くいました。すごいと思います。
”金額が大きい”=”責任も大きい”ので、あまりやる気のない人間からしたらデメリットです。
優秀な同僚
大手の総合職はやはり優秀な人間が集まっていた、と改めて感じました。
将来の幹部候補として、全国の有名大学から人が集まっているだけのことはあります。
会話力、理解力、資料作成能力、技術力、コミュ力など誰しも一定以上の能力を有していました。
外に出てみると、世間一般はそんなことはない、という当たり前の事実に気が付きます。
中小企業でも、もちろん非常に優秀な方はいて、高い技術力を有しています。
あくまでも平均的に比較すると、という話です。
逆にそういう環境の方がのびのび生きられて過ごしやすい、なんて思う私は小さい人間なのでしょう。
結局、転職して良かったか?
今のところ後悔は一つもありません。
大企業がいかに恵まれた環境であるか、辞めてみると一層よく分かりました。
高い給与に賞与、福利厚生、社会的信用など、簡単に手放すには惜しいもの。
だからこそ、辞めたくても一歩を踏み出しにくい気持ちが私にもよく理解できます。
結局、自分にとっての優先順位をしっかりと考えることが最も重要だと思います。
お金が貰えるなら、仕事が嫌でも我慢できるのか?
嫌な仕事をするくらいならお金が減ってもいいのか?
仕事に何を求めるのか。
その答えは自分にしか分かりませんし、決められません。
私は「お金なんかいいから、とにかく合わない仕事をしたくない!」でした。
ひとつ確実なのは、大企業を辞めたって大したことはない、ということ。
「せっかく入れたのにもったいない」とか、「高い給料もらえるのに」とか、「家族を養うためにも出世しないと」とか。
まわりの人間や内なる自分自身が主張してくるかもしれません。
ですが、会社ひとつ辞めたくらいで人生は終わらないし、世界は何事もなかったかのように回ります。
ぜひ、後悔のない人生を送りたいものですね。