さて、ここから常微分方程式の解法について学んでいく。
はじめは、定数係数2階線形微分方程式について、同次形・非同次形の解法を例題とともに理解していこう。
2階線形微分方程式(同次形)
右辺が0であるパターンの解法
\begin{cases}
\alpha\neq\betaのとき&y=C_1e^{\alpha x}+C_2e^{\beta x} \\
\alpha=\betaのとき&y=C_1e^{\alpha x}+C_2xe^{\alpha x}
\end{cases}
\]
ただし、α≠βの場合でα、βが虚数解(a±bi)のとき
\[
\begin{align*}
y&=C_1e^{(a+bi)x}+C_2e^{(a-bi)x} \\
&=e^{\alpha x}(C_1e^{ibx}+C_2xe^{-ibx}) \\
&=e^{\alpha x}(A\cos(bx)+B\sin(bx))
\end{align*}
\]
となる。
例題
$$また、初期条件:y(0)=1、y'(0)=0のもとで特殊解を求めよ$$
(解)
$$y=e^{\lambda x}とおき、\lambda=-2\pm i$$
よって一般解は
$$y=e^{-2x}(A\cos x+B\sin x)$$
\begin{align*}
y’&=-2e^{-2x}(\cos x+B\sin x)+e^{-2x}(-\sin x+B\cos x) \\
&=e^{-2x}\{(-2+B)\cos x+(-2B-1)\sin x\}
\end{align*}
\]
\[
\begin{cases}
y(0)=1より、A=1 \\
y'(0)=0より、B=2
\end{cases}
\]
よって、求める特殊解は
$$y=e^{-2x}(\cos x+2\sin x)$$
2階線形微分方程式(非同次形)
右辺が0でない場合の解法は、大きく分けて3つある。
- 未定係数法
- ロンスキー行列Wを用いる
- 微分演算子Dを用いる
今回は①のパターン
まず、R(x)=0の同次形の一般解を求める。
元の方程式は、(同次方程式の一般解)+(特殊解)の形の解を持つので
$$y=C_1e^{\alpha x}+C_2e^{\beta x}+C_3V(x)$$
とすることができ、これを代入してC3を求める。
特殊解には例えば次のようなパターンがある
- $$e^{△x}系 \to C_3e^{△x} またはC_3xe^{△x}$$
- $$\sin△x,\cos△x系 \to C_3\sin△x+C_4\cos△x$$
- $$a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+…系 \to C_3x^n+C_4x^{n-1}+…$$
x倍やx^2倍などの場合もある。
例題
(解)
$$y=e^{\lambda x}とおき、\lambda=0,-3$$
$$V(x)=x(C_3x+C_4)=c_3x^2+C_4xとおく$$
$$V'(x)=2C_3x+C_4,V^{\prime\prime}(x)=2C_3$$
これを元の方程式に代入して
$$2C_3+3(2C_3x+C_4)=6x$$
xについての恒等式とみて解くと
$$C_3=1,C_4=-\frac{2}{3}$$
したがって、求める一般解は
$$y=C_1+C_2e^{-3x}+x^2-\frac{2}{3}x$$
(解)
$$y=e^{\lambda x}とおき、\lambda=\pm3i$$
$$V(x)=(C_3x+C_4)e^xとおく$$
これを元の方程式に代入して
$$10C_3x+2C_3+10C_4=10x$$
xについての恒等式とみて解くと
$$C_3=1,C_4=-\frac{1}{5}$$
したがって、求める一般解は
$$y=C_1\cos3x+C_2\sin3x+\left(x-\frac{1}{5}\right)e^x$$