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レイノルズ数と無次元化方程式

運動の無次元化

寸法が異なる物体まわりの流れであっても、流速を適切に調整することで、まったく同じパターンの流れを作り出すことができる。

このことから、飛行機の翼まわりの流れを解析したいとき、実物ではなく模型を使って確認することができるということになる。

 

実際の大きさや速さといった次元(単位)を持たない数を用いて運動を記述することで、運動のパターンを解析することができる。

次元を持つ数を次元を持たないようにする操作を無次元化という。

ここではナビエ・ストークス方程式を無次元化していこう。

 

代表長さを\(L\)[m]、代表速度を\(U\)[m/s]とする。各変数の無次元量を’をつけて表すことにする。

$$x=Lx’,y=Ly’,u=Uu’,v=Uv’,t=\frac{L}{U}t’,p=\rho U^2p’$$

から、無次元化変数は次のように書ける。

$$x’=\frac{x}{L},y’=\frac{y}{L},u’=\frac{u}{U},v’=\frac{v}{U},t’=\frac{U}{L}t,p’=\frac{p}{\rho U^2}$$

 

\(F_x=F_y=0\)のもとでナビエ・ストークス方程式に代入すると

$$\frac{\partial u’}{\partial t’}+u’\frac{\partial u’}{\partial x’}+v’\frac{\partial u’}{\partial y’}=-\frac{\partial p’}{\partial x’}+\frac{\nu}{UL}\left(\frac{\partial^2 u’}{\partial {x’}^2}+\frac{\partial^2 u’}{\partial {y’}^2}\right)$$

$$\frac{\partial v’}{\partial t’}+u’\frac{\partial v’}{\partial x’}+v’\frac{\partial v’}{\partial y’}=-\frac{\partial p’}{\partial y’}+\frac{\nu}{UL}\left(\frac{\partial^2 v’}{\partial {x’}^2}+\frac{\partial^2 v’}{\partial {y’}^2}\right)$$

となる。

 

レイノルズ数

さて、無次元化したナビエ・ストークス方程式に共通して現れた係数がある。

次式で定義される量をレイノルズ数といい、流れの特徴を表す重要な指標である。

$$Re=\frac{UL}{\nu}$$

流体の運動が力学的に相似(同じパターン)となるための条件は、レイノルズ数Reが等しいことである。

 

レイノルズ数は無次元量である。

$$\frac{[m/s]×[m]}{[m^2/s]}=1 (無次元)$$

 

レイノルズ数の物理的意味

レイノルズ数は、慣性力と摩擦力の比である。このことを確認しよう。

慣性力および摩擦力は

\[
\begin{cases}
慣性力&=質量[kg]×加速度[m/s^2]:\rho L^3×\frac{U^2}{L} \\
摩擦力& =せん断応力[kg/ms^2]×面積[m^2]:\mu\frac{du}{dy}×L^2=\mu\frac{U}{L}×L^2
\end{cases}
\]

と書くことができる。よって

$$\frac{慣性力}{摩擦力}=\frac{\rho L^3×\frac{U^2}{L}}{\mu\frac{U}{L}×L^2}=\frac{\rho UL}{\mu}=\frac{UL}{\nu}=Re$$

となる。

 

このことから、レイノルズ数Reと流体の特徴には次のような関係があることがわかる。

\[
\begin{cases}
Re数が小&⇒慣性力が小、摩擦力が大=粘性の働きが大きい=流れが乱れにくい(層流) \\
Re数が大&⇒慣性力が大、摩擦力が小=粘性の働きが小さい=流れが乱れやすい(乱流)
\end{cases}
\]

演習問題

流体1(ν1、U1)中に物体1(L1)があるときの流れと、流体2(ν2、U2)中に物体2(L2)があるときの流れが力学的に相似になるときのU2を求めよ

(解)

Reが一致すればよい。

$$Re=\frac{U_1L_1}{\nu_1}=\frac{U_2L_2}{\nu_2}$$

$$∴U_2=\frac{\nu_2}{\nu_1}\frac{L_1}{L_2}U_1$$

 

まとめページ

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