流体がある軸の周りを定常的に回転しているとする。このとき、半径方向の圧力勾配を求めよ。
また、角速度が一定であるときの自由表面はどのような形になるか。
(解)
極座標でのオイラーの運動方程式(半径方向)は次式で表される。
$$\frac{\partial C_r}{\partial t}+C_r\frac{\partial C_r}{\partial r}+\frac{C_{\theta}}{r}\frac{\partial C_r}{\partial\theta}-\frac{{C_{\theta}}^2}{r}=F_r-\frac{1}{\rho}\frac{\partial p}{\partial r}$$
定常流なので\(\partial/\partial t=0\)、軸周りの回転流なので\(C_r=0\)、体積力\(F_r=0\)とすると、
$$-\frac{{C_{\theta}}^2}{r}=-\frac{1}{\rho}\frac{\partial p}{\partial r}$$
より、半径方向の圧力勾配は
$$\frac{\partial p}{\partial r}=\rho\frac{{C_{\theta}}^2}{r}$$
となる。
また、角速度を\(\omega=const\)として
$$C_{\theta}=r\omega , \theta=\omega t$$
\(\theta\)は\(t\)の関数だが、定常流なので定数として扱うことができる。よって、\(p=p(r)\)となり
$$\frac{dp}{dr}=\rho\frac{(r\omega)^2}{r}=\rho r\omega^2$$
$$p=\frac{1}{2}\rho r^2\omega^2+p_0$$
ここで、\(p_0\)は\(r=0\)における圧力である。
半径\(r\)の位置での流体表面と、\(r=0\)での流体表面の高さの差を\(h\)とすると、\(p=p_0+\rho gh\)となる。よって、
$$\frac{1}{2}\rho r^2\omega^2=\rho gh$$
$$h=\frac{1}{2g}r^2\omega^2$$
これより、自由表面は回転放物面であることがわかる。
これは、容器内の液体を円周に沿ってかき混ぜているイメージである。
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