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線積分と面積分の定義と計算方法【理工数学】

前回はベクトルの基礎的な演算について学びました。

ベクトル解析①ベクトルの基礎・スカラー場とベクトル場の演算公式【理工数学】

今回は、線積分および面積分について学んでいきます。

線積分

C^1級曲線

$$C:\mathbf{r}=\mathbf{r}(t) (\alpha\le t\le\beta)$$

とC上の連続関数fが与えられており、Aを始点、Bを終点とします。[α,β]の分割:

$$\alpha=t_0<t_1<…<t_n=\beta$$

を考え、対応するCの分点をそれぞれ、

$$A=P_0,P_1,…,P_n=B$$

とします。弧P_{i-1}P_i (1≦i≦n)から任意の点Qiをとり、P_{i-1}P_iの弧長をΔsiとして、次の和

$$\sum^{n}_{i=1}f(Q_i)\Delta s_i$$

をとります。定積分の場合と同様に、この和は分割を細かくしていくことで、分割のとり方やQiの選び方とは無関係にある値Iに収束します。この値Iを、fのCに沿った線積分といい、

$$\int_Cfds$$

とかきます。Σの値をこの積分の近似値とよびます。

Qiに対応するtの値をtiとすると、

$$\Delta S_i~s'(t_i)\Delta t_i=|\mathbf{r}'(t_i)|\Delta t_i$$

より、

$$\sum^{n}_{i=1}f(Q_i)\Delta s_i~\sum^{n}_{i=1}f(\mathbf{r}(t_i))|\mathbf{r}'(t_i)|\Delta t_i$$

したがって、

$$\int_Cfds=\int_{\alpha}^{\beta}f(\mathbf{r}(t))|\mathbf{r}'(t)|dt$$

を得ます。

 

Cの向きを逆にした曲線を-Cと書くことにすると、

$$\int_{-C}fds=-\int_Cfds$$

また、Cが2つの曲線C1、C2に分割されるとき、

$$\int_Cfds=\int_{C_1+C_2}fds=\int_{C_1}fds+\int_{C_2}fds$$

が成り立ちます。

 

次に、先述の近似和において、Piのx座標をxiとしてΔsiの代わりにΔxi=xi-x_(i-1)をとることで、同様にしてfのCに沿うxに関する線積分

$$\int_Cfdx$$

が定義されます。この値は、次のように計算されます。

$$\int_Cfds=\int_{\alpha}^{\beta}f(\mathbf{r}(t))x'(t)dt ただし、\mathbf{r}(t)=(x(t),y(t),z(t))$$

同様にして、y、zに関する線積分も定義されます。

 

ベクトル場の線積分

Cを含む領域で定義されたベクトル場Aの線積分を定義します。

ベクトルOPi=riとおき、和

$$\sum_{i=1}^{n}\mathbf{A}(Q_i)・\Delta\mathbf{r}_i ただし、\Delta\mathbf{r}_i=\mathbf{r}_i-\mathbf{r}_{i-1}$$

をつくります。分割を細かくしていくと、この和はCとAだけによって定まる一定値に収束します。この値をAのCに沿う線積分といい、

$$\int_C\mathbf{A}・d\mathbf{r}$$

で表します。

$$\Delta\mathbf{r}_i~\mathbf{r}'(t_i)\Delta t_i$$

から

$$\mathbf{A}(Q_i)・\Delta\mathbf{r}_i~\mathbf{A}(\mathbf{r}(t_i))・\mathbf{r}'(t_i)\Delta t$$

より、次式を得ます。

$$\int_{C}\mathbf{A}・d\mathbf{r}=\int_{\alpha}^{\beta}\mathbf{A}(\mathbf{r}(t))・\mathbf{r}'(t)dt$$

 

さらに、

$$\Delta\mathbf{r}_i=\overrightarrow{P_{i-1}P_i}=(\Delta x_i,\Delta y_i,\Delta z_i)$$

とおくと

$$\mathbf{A}(Q_i)・\Delta\mathbf{r}_i=A_x(Q_i)\Delta x_i+A_y(Q_i)\Delta y_i+A_z(Q_i)\Delta z_i$$

より、次の等式を得ます。

$$\int_{C}\mathbf{A}・d\mathbf{r}=\int_CA_xdx+\int_CA_ydy+\int_CA_zdz$$

 

面積分

曲面SとS上の連続関数fが与えられているとします。Sを分割して各微小面積Siから任意の点Qiをとり、ΔSiをSiの曲面積として、和

$$\sum_{i=1}^nf(Q_i)\Delta S_i$$

をつくります。Sの分割を細かくしていくと、この和はSとfだけによって決まる一定値に収束します。この値をfのS上の面積分といい、

$$\int_SfdS$$

で表します。

Sがr=r(u, v)((u, v)∈D)と表されるとき、次式を得ます。

$$\iint_SfdS=\iint_Df(\mathbf{r}(u,v))\left|\frac{\partial\mathbf{r}}{\partial u}×\frac{\partial\mathbf{r}}{\partial v} \right|dudv$$

 

次に、Sを含む領域で定義されたベクトル場Aに対して、Sの各点Pにおける単位法線ベクトルをn(P)として、f(P)=A(P)・n(P)の面積分を

$$\iint_S\mathbf{A}・\mathbf{n}dS$$

で表し、これをベクトル場Anで定められた側のS上の面積分といいます。

とくに

$$\mathbf{n}=\frac{\frac{\partial\mathbf{r}}{\partial u}×\frac{\partial\mathbf{r}}{\partial v}}{\left|\frac{\partial\mathbf{r}}{\partial u}×\frac{\partial\mathbf{r}}{\partial v} \right|}$$

のとき、

$$\iint_S\mathbf{A}・\mathbf{n}dS=\iint_D\mathbf{A}(\mathbf{r}(u,v))・\left(\frac{\partial\mathbf{r}}{\partial u}×\frac{\partial\mathbf{r}}{\partial v} \right)dudv$$

となります。

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