ここでは、MathJax-LaTeXで微分を表現する方法をまとめています。
微分(differential)
MathJaxでは、以下のような様々な微分記号を出力することができます。
ラグランジュ記法
ラグランジュの微分記法は、「’」や\primeコマンドを使用します。
コマンド | 出力 |
\( f'(x) \) |
\( f'(x) \) |
\( f^{\prime}(x) \) |
\( f^{\prime}(x) \) |
\( f^{\prime\prime}(x) \) |
\( f^{\prime\prime}(x) \) |
\( f^{(n)}(x) \) |
\( f^{(n)}(x) \) |
1階微分はダッシュ記号で表示することができます。
2階微分をダッシュふたつで表示しようとすると、ダブルクォーテーションに変換されてしまうことがあります。その場合、\primeコマンドを利用することで正しく出力することができます。
ライプニッツ記法
ライプニッツの微分記法は、\fracコマンドを使用します。
コマンド | 出力 |
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} \) |
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} \) |
\(\displaystyle \frac{ \mathrm{d} y}{ \mathrm{d} x} \) |
\(\displaystyle \frac{ \mathrm{d} y}{ \mathrm{d} x} \) |
\(\displaystyle \frac{d^n y}{dx^n} \) |
\(\displaystyle \frac{d^n y}{dx^n} \) |
分数として表示するため、インライン数式モードでは小さくなってしまいます。上のサンプルは\displaystyleコマンドによりディスプレイ数式モードで出力しています。
dをイタリック体でなくローマン体で表示する場合は、\mathrmコマンドでdのフォントを変更します。
ある点における微分係数を表現したい場合は、以下のように入力します。
\(\displaystyle \left. \frac{dy}{dx} \right|_{x=a} \) |
\(\displaystyle \left. \frac{dy}{dx} \right|_{x=a} \) |
\leftコマンドと\rightコマンドはセットで入力する必要があります。左側は必要ないので、「.」を入力しておきます。
ニュートン記法
時間微分を上付きのドットで表すニュートンの微分記法では、\dotコマンドを使用します。
物理学で速度や加速度を与えるときなどに用いられます。
コマンド | 出力 |
\( \dot{y} = \frac{dy}{dt} = v\) |
\( \dot{y} = \frac{dy}{dt} = v\) |
\( \ddot{y} = \frac{d^2y}{dt^2} =a \) |
\( \ddot{y} = \frac{d^2y}{dt^2} =a \) |
\dotコマンドでは、dの数によってドットの数が増えます。
オイラー記法
線形微分方程式などで用いられる、微分演算子Dによる記法です。
コマンド | 出力 |
\( Df \) |
\( Df \) |
\( D_x y \) |
\( D_x y \) |
微分のサンプルです。例えば、微分の定義は次のように記述することができます。
コマンド | 出力 |
\(\displaystyle f'(x) = \frac{df}{dx} = \lim_{h \to 0} \frac{f(x+h) - f(x)}{h}\) |
\(\displaystyle f'(x) = \frac{df}{dx} = \lim_{h \to 0} \frac{f(x+h) – f(x)}{h}\) |
\limコマンドについては極限のページをご参照ください。
偏微分(partial differential)
MathJaxでは、\partialコマンドにより偏微分記号を出力することができます。
コマンド | 出力 |
\( \partial \) |
\( \partial \) |
\(\displaystyle \frac{\partial f}{\partial x} =f_x \) |
\(\displaystyle \frac{\partial f}{\partial x} =f_x \) |
\(\displaystyle \frac{\partial}{\partial y} \left( \frac{\partial f}{\partial x} \right) = f_{xy} \) |
\(\displaystyle \frac{\partial}{\partial y} \left( \frac{\partial f}{\partial x} \right) = f_{xy} \) |
\(\displaystyle \frac{\partial^n f}{\partial x^n} \) |
\(\displaystyle \frac{\partial^n f}{\partial x^n} \) |
∂(デル)を\partialコマンドで出力する以外は、微分の記法と同様です。
ベクトルの微分演算
ベクトル解析で登場する微分演算は、\nablaコマンドを用いて次のように出力することができます。
コマンド | 出力 |
\( \nabla \) |
\( \nabla \) |
\(\displaystyle \nabla = \left( \frac{\partial}{\partial x}, \frac{\partial}{\partial y}, \frac{\partial}{\partial z} \right) \) |
\(\displaystyle \nabla = \left( \frac{\partial}{\partial x}, \frac{\partial}{\partial y}, \frac{\partial}{\partial z} \right) \) |
\( \mathrm{grad} \phi = \nabla \phi\) |
\( \mathrm{grad} \phi = \nabla \phi\) |
\( \mathrm{div} \mathbf{A} = \nabla \cdot \mathbf{A} \) |
\( \mathrm{div} \mathbf{A} = \nabla \cdot \mathbf{A} \) |
\( \mathrm{rot} \mathbf{A} = \nabla \times \mathbf{A} \) |
\( \mathrm{rot} \mathbf{A} = \nabla \times \mathbf{A} \) |
grad、div、rotは\mathrmコマンドでローマン体にフォント変更をしています。
「・」は\cdotコマンド、「×」は\timesコマンドでそれぞれ出力することができます。
ラプラシアンは、\Deltaコマンドの大文字デルタで表現します。
\( \Delta = \nabla^2 \) |
\( \Delta = \nabla^2 \) |
\(\displaystyle \Delta \phi = \nabla \cdot \nabla \phi = \left( \frac{\partial^2}{\partial x^2} + \frac{\partial^2}{\partial y^2} + \frac{\partial^2}{\partial z^2} \right) \phi \) |
\(\displaystyle \Delta \phi = \nabla \cdot \nabla \phi = \left( \frac{\partial^2}{\partial x^2} + \frac{\partial^2}{\partial y^2} + \frac{\partial^2}{\partial z^2} \right) \phi \) |
ギリシャ文字のページをご参照ください。
MathJaxを使用してわかってきたこと、注意点などを自分用の備忘録も兼ねてまとめていきます。 コマンド例は基本インライン表示にしています。必要に応じてディスプレイ数式モードへの書き換えをしてください。 環境構築[…]