先日、第2種放射線取扱主任者試験に合格しました。
こんにちは、にんじんです。 令和3年度の第2種放射線取扱主任者試験に合格しました。 これから第2種放射線取扱主任者試験を受験する方のために 勉強方法、おすすめテキスト、勉強時間などについて紹介します。 […]
引き続いて、免状を取得するために講習を受講してきました。
この記事では、以下の内容をまとめています。
- どんな内容の講習か
- 実習でどんなことをするのか
- 修了試験の形式と難易度
これから講習を受講する方の参考になれば幸いです。
放射線取扱主任者講習とは
放射性同位元素等の規制に関する法律に基づいて、放射線取扱主任者の免状を取得するために必要な資格講習です。
第1種・第2種の放射線取扱主任者は、試験に合格するだけではなることができません。
資格講習を受けるために
第2種の場合、資格講習機関が開催する3日間の講習を受講することになります。
選択肢は、原子力安全技術センター(東京・大阪・京都)、日本アイソトープ協会(東京)、電子科学研究所(大阪)の三つです。
機関によって若干の差はありますが、受講料は約10万円と高額です。
また、受講可能人数が最大24名と少なく、すぐに埋まってしまうため早めの申し込みが必要です。
持ち物(受講・免状申請)
講習には以下のものを持参します。
- 身分証(運転免許証など):受付で提示
- 事前アンケート:受付で提出
- 筆記用具
- 関数電卓(スマホでもよい)
筆記用具について、鉛筆(シャープペン)とボールペンが必要です。
実習レポートの作成は鉛筆、管理区域入室の記録用にペンを使いました。
また、レポート作成のために計算機が必要ですが、それほど難しい計算ではないためスマホのアプリで十分でした。
なお、修了試験に合格するとその場で免状の交付申請をすることができます。
そのためには以下の物を用意しておく必要があります。
- 交付申請書
- 住民票(発行3か月以内、本籍の記載があるもの)
- 収入印紙3500円分
- 合格証の原本
収入印紙は郵便局で購入できます。
住民票はマイナンバーカードがあればコンビニで発行できて便利。
第2種講習の様子
原子力安全技術センターが主催する資格講習を受講しました。
会場は、京都大学医学部構内にある「放射性同位元素総合センター」でした。
受講生は結構若い人が多かったと思います。
20代が半分以上、30代がちらほら、40代以上が3,4人くらいでしょうか。
女性もいらっしゃいました。
資格講習のスケジュールはこのような感じです。
朝から夕方までびっしりと勉強します。
1日目・・・座学
1日目は終日座学です。
試験のために勉強した、放射線の基礎から法令や測定技術などを一通り学びます。
講師の方は放射線の取り扱いや放射線取扱主任者としての経験が豊富で、実務の話などを交えて講義してくださいました。
事故対応やメディア対応の話は興味深かったです。
テキストはなかなかの分量。
朝から夕方まで机に向かっていると、大学生の頃を思い出しますね。
2日目・・・実習
2日目は終日実習です。
密封線源と測定装置を用いて、勉強した内容を実際に体験することができます。
仕事や実験で放射線に関わっていない場合、初めての経験で面白いと思います。
このような電子式の個人線量計を貸与していただき、管理区域に入って作業を行います。
私が参加した実習では、電離箱・GM計数管式・NaIシンチレーション式などの各種サーベイメータを利用して
γ線の距離による減衰や遮蔽の効果、各種装置の特性を調べるといった基礎的なもの
β線の飛程や制動X線、レベル計といった少し応用的なもの
と充実した内容でした。
\({}^{60}\rm{Co}\)や\({}^{90}\rm{Sr}\)といった線源を初めて目にしました。
机上で暗記してきたものが、実際に目の前にあるとテンション上がりますね。
実習は2、3名で一緒に行います。私などサーベイメータの実物を見るのも初めてでしたが、手慣れた人もいました。
測定やレポートもそれほど難しくはないので、安心して受講して大丈夫です。
3日目・・・座学と修了試験
3日目も座学です。
安全に関する講義では、法令について少し細かい内容を教えていただけました。
試験のために丸暗記はしましたが、実務上のポイントなどは勉強になりました。法令や参考書には書いてありませんからね。
座学が終わった後の「レポートの講評」の時間が重要です。
はじめに実習内容の解説があり、その後講習全体の内容のおさらいをしていただけます。
覚えるべき数値、押さえておきたいポイントなどを教えていただけるわけですが、直後の修了試験に出題されます。
ここは絶対に集中して聞いておくべきです。
最後に修了試験を受けます。
無事合格したら、修了証の交付と免状申請(任意)をして講習は終わります。
修了証原本は免状申請で提出するので、お目に書かれたのはほんの数分間だけでした。
修了試験の難易度は?
放射線取扱主任者の資格講習では、最後に実施される修了試験に合格しないことには免状を手にすることができません。
高い受講費用を払っている以上、落ちるわけにはいきませんよね・・・。
どんな内容なのか、難易度はどれくらいなのか、非常に気になると思います。
私も気になって調べたものの、あまり情報がありませんでした。
そこで、今後受講する方のために情報をまとめておきます。
※原子力安全技術センター主催の情報です。他の機関では内容が異なる場合がありますのでご留意ください。
問題形式と合格基準
第2種の修了試験は、全20問の5肢択一式です。
合格基準は6割、すなわち12問正解でokです。
試験時間は60分と、かなり余裕があります。
A4の解答用紙と問題冊子が配布されます。
1から5までの数字の内、正解だと思うものに〇をつけるだけの簡単なものでした。
試験問題は回収され、採点結果も返却されません。
問題の形式は、本試験と同様です。
- 文章の穴埋め
- 最も適切or不適切
- 正しいものの組み合わせ
試験に比べて、適切なものや不適切なものをひとつ選ぶタイプの問題が多く、解きやすかったです。
試験内容
問題の内容ですが、講義と実習から出題されます。
特に、直前のレポート講評の中で強調された部分は出題される可能性が高いです。
簡単な線量率の計算や、線量限度の数値も出題されました。
1cm線量等量率の計算
$$D=\frac{\Gamma・Q}{d^2}$$
くらいはできないといけません。実習レポートでも計算するので大丈夫だと思いますが。
他にも、記録の保管期限(永久か5年か)や変更の届出(あらかじめか30日以内か)、放射線施設の基準、サーベイメータの特性など、満遍なく問われました。
すごく簡単というわけではありませんが、難しいというほどでもありませんでした。
三日間の講習を普通に受けていれば、合格点を取るくらいはわけないでしょう。
ちなみに、試験開始から30分経過すると退室することもできます。
最終的に9割くらいが退室していました。というくらいの難易度です。
万が一修了試験に落ちてしまった場合、その日に一度だけ補講と再試験を受けることができるそうです。
今回受講した24名は、全員一発合格でした。
免状の申請
講習を修了したら、いよいよ免状の交付を受けることができます。
講習後に一括で申請することができます。
私の参加した会では全員がその場で申請していました。
必要なものはこの記事の上部にまとめた通りです。
試験の合格証と、受け取ったばかりの修了証の原本も提出してしまいます。
もう戻ってこないので、写真やコピーなどをとっておきたい人は注意してください。
申請書と返信用封筒の記入など、提出書類の準備を全員で行います。
書類を提出すると、引き換えに「預り証」と「修了証のコピー」が貰えます。
あとは免状の到着を待つだけです。
三日間もの講習ですが、終わってみればあっという間でした。
お疲れさまでした。