こんにちは、にんじんです。
2021年9月21日より、新しい資格試験「データサイエンス数学ストラテジスト」が始まりました。
「数検」の公益財団法人日本数学検定協会が主催する新たな数学の試験です。
私も、理系の端くれとして早速受験してみました。
結果、惜しくも☆3認定は逃してしまいましたが、無事合格することができました。
この記事では、データサイエンス数学ストラテジストを受験してみた感想、難易度や勉強方法について紹介します。
この資格に興味がある方、受験予定の方はぜひ読み進めてみてください。
データサイエンス数学ストラテジストとは
データサイエンス数学ストラテジストの公式サイトです。資格試験の概要やお申し込み、サンプル試験問題、仕事で役立つデータサイ…
公式HPでは次のように述べられています。
「データサイエンス数学ストラテジスト」は、
データサイエンスの基盤となる数学スキル、リテラシーを学び、
その理解度・習熟度を測定することで、データサイエンスにおける数学を扱う技能を認定する資格です。
社会に出てから必要とされるのは、単なる数学力のみならず、数学を駆使して課題解決をする力です。
データを正しく解釈し、操る力。AIを活用して価値を生み出す力。データに基づいた意思決定や予測。
これからの世の中で求められる、「数学力×ビジネス力」が問われる試験となっています。
試験区分は中級と上級
データサイエンス数学ストラテジスト試験には、中級と上級が用意されています。
中級 | 上級 | |
数学レベル | 数検準2級程度 数学Ⅰ・Aまで |
数検2級・準1級程度 および大学初年度まで |
問題数・試験時間 | 30問・90分 | 40問・120分 |
合格基準 | 60%(18問)以上 | 70%(28問)以上 |
受験料 | 7,000円 | 9,000円 |
いずれも受験資格なし。数学に自信のある方は上級から受けてもいいですね。
上級に求められる数学力は、数検でいうと準1級(高3)と1級(大学・一般)の間くらいのイメージでしょうか。
数検1/準1級の一次試験(60分で7問)に比べると問題数が多いので、あまり複雑な計算ではないにせよ、素早く正確な計算力が問われそうですね。
数検1級が7800円なので、受験料はややお高め。
中級、上級のサンプル試験問題を公式HP上で確認することができます。
これを見ると「これで上級?簡単すぎじゃね?」ってなると思いますが、気を付けてください。
本番の試験は、例題よりも幾分難易度が高いです。舐めてかかると痛い目を見るかもしれません。
試験分野と点数配分
試験の出題範囲は4分野にわかれています。
学習分野 | 内容 |
AI・データサイエンスを支える 計算能力と数学的理論の理解 (50%) |
確率統計系分野(統計・確率・場合の数など) 線形代数系分野(行列・ベクトルなど) 微分積分系分野(微積分・関数・写像など) |
機械学習・深層学習の 数学的理論の理解 (上級:25%、中級:16.7%) |
基礎理論(活性化関数・類似度・最小二乗法など) 機械学習(回帰・分類・クラスタリングなど) 深層学習(ニューラルネットワークなど) |
アルゴリズム・プログラミングに必要な 数学リテラシー (上級:12.5%、中級:16.7%) |
アルゴリズム(探索・ソート・暗号、計算量) プログラミング言語に依存しない手続き型思考 数学的課題解決(論理的思考+数学的発想) |
ビジネスにおいて数学技能を活用する能力 (上級:12.5%、中級:16.7%) |
把握力(データ・グラフの特徴の把握など) 分析力(売上・損益等財務的な分析など) 予測力(データに基づいた業績予測など) |
うーん・・・わかるような、わからないような(笑)
大学などで情報系を専攻した方であれば、全体的になじみがあるかもしれませんね。
文系はもちろん、その他理系専攻だと、機械学習やアルゴリズムについてはよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
後ほど紹介しますが、試験対策のための公式問題集が発売されています。
問題の傾向や中身を知るためには最適です。私もこの本を使って一通り勉強してから受験しました。
受験方法
試験はIBT(Internet Based Testing)形式で行われ、自宅のパソコンやスマホで受けることができます。
24時間365日いつでも受験できるのは便利ですね。
また、試験結果もその場で確認することができます。
個人の場合、「CBT-Solutions」または「アガルートアカデミー」のいずれかの外部サービスから申し込み・受験をします。
(リンク先は受験申込のページ)
検定料は同じなので、どちらでもok。
上級を受験しました
お待たせしました。
ここからは、実際にデータサイエンス数学ストラテジスト(上級)試験を受けた感想、難易度、対策方法などについて紹介していきます。
試験の難易度はやや高め
率直に言うと、思ったより難しかった、です。
全40問のうち、20問が純粋な数学の計算問題、20問が機械学習や問題解決などのその他、という構成になっています。
後半は、機械学習に関する基礎知識と、問題文を読み解く力があればそこまで難しくはありませんでした。
しかし前半は
- 極限
- 微積分
- 三角関数
- 指数・対数関数
- 図形、ベクトル
- 行列の性質、固有値
- 二項定理
など各分野の問題がかわるがわる襲ってきます。
媒介変数表示とか、部分分数分解して無限級数とか、大学受験ぶりに解きました・・・。
公式の例題を見て簡単だと思って受験すると、驚きますよ。
例題を信じて軽い気持ちでやってきた受験者を殺しにかかっているとしか思えません。
受験前の時点で情報を見極める力が問われていたのかも。
時間の余裕はあまりない
40問で120分なので、1問あたり3分。
知識問題や簡単な計算も含まれるので、時間が足りなくて落ちるというほどではありません。が、全部きちんと解こうとすると時間は足りませんでした。
受験勉強で一度は見たことがあるとはいえ、数年のブランクで計算力はお察し。ぱっと解法が浮かばない問題もあるし、計算量が多い問題もあります。
計算ミスも結構しました。出てきた答えが選択肢にない絶望よ・・・。
5択なので最後は勘で埋めました。
勉強方法
この試験は出題範囲が幅広いので、数学や機械学習の素養がない場合、それなりに準備をする必要があります。
本番試験の内容を一通り学習するなら、まずは公式問題集です。
中級・上級それぞれの公式問題集が販売されています。
出題範囲に対応した問題と解説が80問掲載されており、全範囲をざっと復習するためには最適でした。
実際、本番の試験にも似た問題がいくつか出題されていたので、合格を目指すならこの本には目を通しておくといいです。
ただし解説はあっさりしており、ある程度の知識があることが前提なのでご注意を。
新しい試験なので、まだ他に対策本などはありません。
個人的にやっておくといいと思ったのは
高校レベルの数学が理解できていれば、十分解くことができます。
あとはネイピア数の定義式と、式変形についても復習しておいた方がいいかも。
機械学習に関しては、私の専門ではないのでおススメの参考書などは紹介できません。
データサイエンスについて幅広く学ぶなら、Udemyのオンライン講座がいいかな、と思います。
受験のコツを紹介
まず、準備しておくものはこちら。
- 筆記用具
- 計算用紙
- 電卓
関数電卓や表計算ソフトは無くてもいいと思いました。
計算用紙は、コピー紙などのペラ白紙を多めに用意しておくといいです。
次に問題を解くときのコツです。
正攻法もいいですが、楽をすることも大切です。
「代表的な数字を代入してみる、正負を確認する、選択肢を問題に当てはめてみる」といった方法で絞り込むことが可能な問題もあります。
また、時間がかかる計算問題は後に残しましょう。
はじめに時間を使いすぎると焦ってしまい、計算ミスの元です。
後半の機械学習以降から解くのもアリだと思います。
落ち着いて、解ける問題を確実に。
合格しました
試験時間が終了したら、すぐに結果を確認することができます。
数学基礎力と数学コンサルティング力の合計点数でもって合否が決まります。
合格の中でも、成績によって☆1から☆3までのランク分けがなされており、オープンバッジとやらを取得できるみたいです。
(後日追記するかも)
残念ながら☆2でしたが、無事合格することができました。
あと1問できていれば☆3だったので少し悔しいです。
というか1問目から間違えてます(笑)
これは反省ですね。
試験結果はPDFでダウンロードすることができます。
1ページ目は上で貼った成績、2ページ目は講評でした。
まとめ
新たに始まった資格試験「データサイエンス数学ストラテジスト」の上級を受験してみました。
基礎的な数学の復習、そして機械学習などの応用分野の入門編的な内容となっており、楽しく勉強することができました。
データサイエンスに興味がある大学生や社会人が、目標を持って学習するためにちょうどいい試験だと思います。
興味がある方は受験してみてはいかがでしょうか。
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