気流速度と音速の間に成り立つ保存式を導出する。
さらに、比熱比を用いて流速を与える式を導く。
エネルギー式
状態1\((p_1,v_1)\)→状態2\((p_2,v_2)\)の変化を考える。
このとき、外部からされる仕事は
$$w=-d(pv)=p_1v_1-p_2v_2$$
である。よって、
$$q+w=q+(p_1v_1-p_2v_2)=\Delta E$$
ここで、エネルギー変化\(\Delta E\)は、内部エネルギーの変化と運動エネルギーの変化の和で与えられることから
したがって
断熱状態を仮定すると、\(q=0\)より
$$(e_1+p_1v_1)+\frac{u_1^2}{2}=(e_2+p_2v_2)+\frac{u_2^2}{2}$$
ここで、エンタルピーhの定義から
$$h_1+\frac{u_1^2}{2}=h_2+\frac{u_2^2}{2}$$
さらに変形していく。定圧比熱の定義より、
$$C_p=\frac{dh}{dT} \to h=C_pT$$
よって先の式は、
$$C_pT+\frac{u^2}{2}=const$$
とかける。\(u=0でT=T_0\)とすると
$$T_0=T+\frac{u^2}{2C_p}$$
この\(T_0\)を全温度という。
また、比熱比γを用いて
$$C_p=\frac{\gamma}{\gamma-1}R$$
より、
$$\frac{\gamma}{\gamma-1}RT+\frac{u^2}{2}=\frac{u^2}{2}+\frac{\gamma}{\gamma-1}\frac{p}{\rho}=const$$
さらに、音速cを用いて
を得る。
気流速度の式
気体が静止状態から動き出すとき、ある圧力に達した時の気流速度を計算する。
いま、気流速度uが音速cに等しい点における音速を\(c^*\)とする。
また、\(c^*\)に対するマッハ数に類似する量として
を定義する。
\(M\)と\(M^*\)の違いに注意する。\(M\)は同一の点での\(u\)と\(c\)の比、\(M^*\)は\(u=c=c^*\)の点とその他の点における\(u\)との比を表す。
さて、先ほどのエネルギー式より
$$\frac{u^2}{2}+\frac{c^2}{\gamma-1}=\frac{{c^*}^2}{2}+\frac{{c^*}^2}{\gamma-1}=\frac{1}{2}\frac{\gamma+1}{\gamma-1}{c^*}^2$$
\(u^2\)で割って整理すると
$$\frac{1}{2}+\frac{1/M^2}{\gamma-1}=\frac{1}{2}\frac{\gamma+1}{\gamma-1}\frac{1}{{M^*}^2}$$
\(u=0\)(静止状態)での音速を\(c_0\)とすると
$$\frac{c_0^2}{\gamma-1}=\frac{1}{2}\frac{\gamma+1}{\gamma-1}{c^*}^2$$
また\(u=0\)での密度、圧力を\(\rho_0、p_0\)として
断熱では、
$$p\rho^{-\gamma}=p_0\rho_0^{-\gamma}$$
より、\(\rho\)を消去して整理すると
この式は、静止状態の気体が動き出して圧力がpとなった点における気体の速度を表す。
\(p=0\)のとき、\(u\)は最大となる。
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