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コーシー・リーマンの関係式の例題3問

コーシー・リーマンの関係式については以下の記事をご参照ください。

複素関数の微分可能性とコーシー・リーマンの関係式

 

以下の複素関数f(z)が微分可能であるか判別せよ。微分可能である場合、微分可能な領域も述べよ。

複素関数は、コーシー・リーマンの関係式を満たす点で微分可能であることを利用する。

\((1) f(z)=1/z\) (\(z=0\)は除く)

$$f(x, y)=\frac{1}{x+iy}=\frac{x-iy}{x^2+y^2}$$

より

$$u=\frac{x}{x^2+y^2},v=\frac{-y}{x^2+y^2}$$

これから

$$\frac{\partial u}{\partial x}=\frac{-x^2+y^2}{(x^2+y^2)^2} , \frac{\partial u}{\partial y}=\frac{-2xy}{(x^2+y^2)^2}$$

$$\frac{\partial v}{\partial x}=\frac{2xy}{(x^2+y^2)^2} , \frac{\partial v}{\partial y}=\frac{-x^2+y^2}{(x^2+y^2)^2}$$

コーシー・リーマンの関係式が成立している。

したがって、(x, y)=(0, 0)を除いた領域で微分可能である。

 

\((2) f(z)=Re(z)\)

$$f(x, y)=xより、u=x,v=0$$

$$\frac{\partial u}{\partial x}=1 , \frac{\partial v}{\partial y}=0$$

となり、すべての点でコーシー・リーマンの関係式を満たさないので、全平面で微分可能でない

 

\((3) f(z)=|z|^2\)

$$f(x,y)=x^2+y^2より、u=x^2+y^2,v=0$$

$$\frac{\partial u}{\partial x}=2x , \frac{\partial u}{\partial y}=2y$$

$$\frac{\partial v}{\partial x}=0 , \frac{\partial v}{\partial y}=0$$

よって、(x, y)=(0, 0)においてのみ微分可能である。

 

\((4) f(z)=\bar{z}^2\)

$$f(x,y)=(x-iy)^2=x^2-y^2-2ixy=(x^2-y^2)+i(-2xy)$$

より、

$$u=x^2-y^2,v=-2xy$$

$$\frac{\partial u}{\partial x}=2x , \frac{\partial u}{\partial y}=-2y$$

$$\frac{\partial v}{\partial x}=-2y , \frac{\partial v}{\partial y}=-2x$$

コーシー・リーマンの関係式が成り立つのは、

\[
\begin{cases}
2x=-2x \\
-2y=2y
\end{cases}
\]

\(x=y=0\)のときのみ。よって、(x, y)=(0, 0)においてのみ微分可能である。

 

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