ベルヌーイの微分方程式に続き、オイラーの微分方程式の解法をみていこう。
オイラーの微分方程式
$$x^ny^{(n)}+a_1x^{n-1}y^{(n-1)}+・・・+a_{n-1}xy’+a_ny=p(x)$$
の形で表される微分方程式を、オイラーの微分方程式と呼ぶ。
簡単のため、\(n=2\)のとき
$$x^2y^{\prime\prime}+a_1xy’+a_2y=p(x)$$
を考えよう。
この微分方程式を解くためには、次の変数変換を行えばよい。
とおくと、
$$\frac{dx}{dz}=e^z$=x,\frac{d}{dz}\left(\frac{1}{x}\right)=-\frac{1}{x}$$
\[
\begin{align*}
y’&=\frac{dy}{dx}=\frac{dy}{dz}\frac{dz}{dx} \\
&=\frac{1}{x}\frac{dy}{dz}
\end{align*}
\]
\[
\begin{align*}
y^{\prime\prime}&=\frac{dy’}{dx}=\frac{dy’}{dz}\frac{dz}{dx}=\frac{1}{x}\frac{dy’}{dz} \\
&=\frac{1}{x}\frac{d}{dz}\left(\frac{1}{x}\frac{dy}{dz}\right) \\
&=\frac{1}{x}\left(-\frac{1}{x}\frac{dy}{dz}+\frac{1}{x}\frac{d^2y}{dz^2}\right) \\
&=\frac{1}{x^2}\left(\frac{d^2y}{dz^2}-\frac{dy}{dz}\right)
\end{align*}
\]
これらを元の式に代入すると
となる。これは、定数係数の線形微分方程式なので、解くことができる。
\(y(z)\)を求め、はじめの変数変換の逆変換\((z=\ln(x))\)によって\(y(x)\)を得ることができる。
具体例をみてみよう。
例題
(解)
$$x=e^z$$
とおくと、
$$x^2y^{\prime\prime}=\frac{d^2y}{dz^2}-\frac{dy}{dz},xy’=\frac{dy}{dz}$$
である。これを元の方程式に代入して
$$\frac{d^2y}{dz^2}-\frac{dy}{dz}-3\frac{dy}{dz}+3y=\left(e^z\right)^2$$
$$\frac{d^2y}{dz^2}-4\frac{dy}{dz}+3y=e^{2z}$$
微分演算子\(D=d/dz\)を用いて
と書ける。よって、特殊解\(y_0\)は
なので、一般解は
$$y(z)=C_1e^z+C_2e^{3z}-e^{2z}$$
変数を\(x\)に戻して
$$y(x)=C_1x+C_2x^3-x^2$$
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