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畳み込み積分のフーリエ変換の導出と応用

畳み込み積分とフーリエ変換

2つの関数\(g_1(t)、g_2(t)\)に対し、以下の積分を畳み込み積分という。

$$g_1(t)*g_2(t)\equiv\int_{-\infty}^{\infty}g_1(t’)g_2(t-t’)dt’$$

 

\(g_1(t)、g_2(t)\)のフーリエ変換をそれぞれ\(G_1(f)、G_2(f)\)とすると、畳み込み積分のフーリエ変換は次のように書ける。

$$\mathcal{F}[g_1(t)*g_2(t)]=G_1(f)G_2(f)$$

畳み込み積分をフーリエ変換するときは、それぞれの関数のフーリエ変換を求めて掛け合わせればよい。

(証明)

\[
\begin{align*}
\mathcal{F}[g_1(t)*g_2(t)] & =\int_{-\infty}^{\infty}\left[\int_{-\infty}^{\infty}g_1(t’)g_2(t-t’)dt’\right]e^{-2\pi ift}dt \\
& =\int_{-\infty}^{\infty}g_1(t’)\left[\int_{-\infty}^{\infty}g_2(t-t’)e^{-2\pi ift}dt\right]dt’ \\
& =\int_{-\infty}^{\infty}g_1(t’)\left[\int_{-\infty}^{\infty}g_2(t-t’)e^{-2\pi if(t-t’)}dt\right]e^{-2\pi ift’}dt’ \\
& =\left[\int_{-\infty}^{\infty}g_1(t’)e^{-2\pi ift’}dt’\right]G_2(f) \\
& =G_1(f)G_2(f)
\end{align*}
\]
(証明終)

 

一方、\(g_1(t)、g_2(t)\)の積に対するフーリエ変換は\(G_1(f)、G_2(f)\)の畳み込み積分となる。

\[
\begin{align*}
\mathcal{F}[g_1(t)g_2(t)] & =G_1(f)*G_2(f) \\
& =\int_{-\infty}^{\infty}G_1(f’)G_2(f-f’)df’
\end{align*}
\]

 

線形システム

ある線形システムにデルタ関数\(\delta(t)\)を入力したときの出力をインパルス応答といい、これを\(h(t)\)と書くことにする。

このシステムに入力\(x(t)\)を加えたときの出力を\(y(t)\)とすると、\(y(t)\)はインパルス応答\(h(t)\)と入力\(x(t)\)の畳み込み積分になる。

\[
\begin{align*}
y(t) & =h(t)*x(t) \\
& =\int_{-\infty}^{\infty}h(t’)x(t-t’)dt’
\end{align*}
\]

電気回路の例

抵抗RとコンデンサCで構成されている回路を考える。この回路はローパスフィルター(LPF)とも呼ばれる。

回路への入力電圧を\(v_i(t)\)、出力電圧を\(v_o(t)\)とすると、この回路の時間変化は以下の微分方程式で記述される。

$$\frac{dv_o}{dt}=-\frac{1}{RC}v_o+\frac{1}{RC}v_i(t)$$

\(t=t_0\)のときの初期状態\(v_o(t_0)\)を満たす解は以下のようになる。(微分方程式の解法)

$$v_o(t_0)=v_o(t_0)e^{-\frac{t-t_0}{RC}}+\frac{1}{RC}\int_{t_0}^{t}v_i(t’)e^{-\frac{t-t’}{RC}}dt’$$

\(t_0\to-\infty\)の極限をとると

$$v_o(t_0)=\frac{1}{RC}\int_{-\infty}^{t}v_i(t’)e^{-\frac{t-t’}{RC}}dt’$$

となる。ここで、\(t-t’=t^{\prime\prime}\)の変数変換を行うと

\[
\begin{align*}
v_o(t_0) & =-\frac{1}{RC}\int_{\infty}^{0}v_i(t-t^{\prime\prime})e^{-\frac{t^{\prime\prime}}{RC}}dt^{\prime\prime} \\
& =\frac{1}{RC}\int_{0}^{\infty}v_i(t-t^{\prime\prime})e^{-\frac{t^{\prime\prime}}{RC}}dt^{\prime\prime}
\end{align*}
\]

となるが、インパルス応答として

\[
h(t)=\begin{cases}
\frac{1}{RC}e^{-\frac{t}{RC}} & (t\ge0) \\
0 & (それ以外)
\end{cases}
\]

を定義すると、

$$v_o(t_0)=\int_{-\infty}^{\infty}h(t’)v_i(t-t’)dt’=h(t)*v_i(t)$$

となり、回路の出力\(v_o(t)\)がインパルス応答\(h(t)\)と入力\(v_i(t)\)の畳み込み積分で表されることがわかる。

矩形パルス入力

例えば、入力\(v_i(t)\)として次式のような矩形パルス

\[
v_i(t)=\begin{cases}
\frac{1}{2} & (-1\le t\le1) \\
0 & (それ以外)
\end{cases}
\]

を与える。このときの回路の出力は以下のようになる。

\[
v_o(t)=\begin{cases}
\frac{1}{2}\left(1-e^{-\frac{t+1}{RC}}\right) & (-1\le t\le1) \\
\frac{1}{2}\left(1-e^{-\frac{2}{RC}}\right)e^{-\frac{t-1}{RC}} & (t\ge1) \\
0 & (それ以外)
\end{cases}
\]
まとめページ

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