ここでは、MathJax-LaTeXでベクトルを表示する方法をまとめています。
ベクトル(vector)
ベクトルには複数の表記方法があります。
矢印表記
MathJaxでは、\vecコマンドにより上付き矢印のベクトル記号を出力することができます。
複数文字の上に矢印を付与する場合は、\overrightarrowコマンドを使用します。
コマンド | 出力 |
\( \vec{a} \) |
\( \vec{a} \) |
\( \overrightarrow{AB} \) |
\( \overrightarrow{AB} \) |
太字表記
ベクトルを太字で表す場合は、\boldsymbolコマンドを使用します。このコマンドではイタリック体の太字が出力されます。
コマンド | 出力 |
\( \boldsymbol{a} \) |
\( \boldsymbol{a} \) |
\( \boldsymbol{A} \) |
\( \boldsymbol{A} \) |
フォントの変更を重ね掛けすることはできません。すなわち、太字を出力する\mathbfコマンドとイタリック体を出力する\mathitコマンドを同時に使いベクトルを表示することはできません。
ただし、\boldsymbolコマンドと\mathrmコマンドは同時使用可能です。これは単に\mathbfで出力される太字と同じ記号になります。
例えば、単位ベクトルを次のように記述することができます。
\( \boldsymbol{\mathrm{e}} \) |
\( \boldsymbol{\mathrm{e}} \) |
\( \mathbf{e} \) |
\( \mathbf{e} \) |
行ベクトルと列ベクトル
成分を書き下す形式のベクトルは、次のように記述します。
コマンド | 出力 |
\( ( a_1, a_2, \cdots , a_n ) \) |
\( ( a_1, a_2, \cdots , a_n ) \) |
\( \left( \begin{array}{c} a_1 \\ a_2 \\ \vdots \\ a_n \end{array} \right) \) |
\( \left( \begin{array}{c} a_1 \\ a_2 \\ \vdots \\ a_n \end{array} \right) \) |
行ベクトルは出力する通りに記述することで表示可能です。
列ベクトルは、array環境を用いて出力します。{c}は成分を中央に配置することを意味しており、「\\」により改行を表します。
ノルム(norm)
ベクトルの大きさを表す場合、絶対値記号「|」(パイプ)を用います。\|とすることで、二重の縦棒を表示することができます。
コマンド | 出力 |
\( | \vec{a} | \) |
\( | \vec{a} | \) |
\( \| \boldsymbol{A} \| \) |
\( \| \boldsymbol{A} \| \) |
\( a = \| \boldsymbol{a} \| = \sqrt{a_1^2 + a_2^2 + \cdots +a_n^2} \) |
\( a = \| \boldsymbol{a} \| = \sqrt{a_1^2 + a_2^2 + \cdots +a_n^2} \) |
内積(スカラー積)と外積(ベクトル積)
MathJaxでは、\cdotコマンドにより「・」を、\timesコマンドにより「×」を出力することができます。
また、( , )により内積、[ , ]により外積を表すこともあります。
コマンド | 出力 |
\( \boldsymbol{a} \cdot \boldsymbol{b} \) |
\( \boldsymbol{a} \cdot \boldsymbol{b} \) |
\( \boldsymbol{a} \times \boldsymbol{b} \) |
\( \boldsymbol{a} \times \boldsymbol{b} \) |
\( \displaystyle ( \boldsymbol{a} , \boldsymbol{b} ) = \boldsymbol{a} \cdot \boldsymbol{b} = \sum_{i=1}^n a_i b_i \) |
\( \displaystyle ( \boldsymbol{a} , \boldsymbol{b} ) = \boldsymbol{a} \cdot \boldsymbol{b} = \sum_{i=1}^n a_i b_i \) |
\( \displaystyle [ \boldsymbol{a} , \boldsymbol{b} ] = \boldsymbol{a} \times \boldsymbol{b} = \sum_{j,k} \varepsilon_{ijk} a_j b_k \) |
\( \displaystyle [ \boldsymbol{a} , \boldsymbol{b} ] = \boldsymbol{a} \times \boldsymbol{b} = \sum_{j,k} \varepsilon_{ijk} a_j b_k \) |
下二つのサンプルの詳細については数式の表記方法、総和記号、ギリシャ文字のページもご参照ください。
転置(transpose)
MathJaxでベクトルの転置を出力する場合、次のように記述します。
コマンド | 出力 |
\( {}^t \boldsymbol{A} \) |
\( {}^t \boldsymbol{A} \) |
\( \boldsymbol{A}^{ \mathrm{T} } \) |
\( \boldsymbol{A}^{ \mathrm{T} } \) |
\( \boldsymbol{a} = ( a_1, a_2, \cdots , a_n )^{ \mathrm{T} } = \left( \begin{array}{c} a_1 \\ a_2 \\ \vdots \\ a_n \end{array} \right) \) |
\( \boldsymbol{a} = ( a_1, a_2, \cdots , a_n )^{ \mathrm{T} } = \left( \begin{array}{c} a_1 \\ a_2 \\ \vdots \\ a_n \end{array} \right) \) |
MathJaxを使用してわかってきたこと、注意点などを自分用の備忘録も兼ねてまとめていきます。 コマンド例は基本インライン表示にしています。必要に応じてディスプレイ数式モードへの書き換えをしてください。 環境構築[…]