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特性方程式と2階線形微分方程式の解法

今回学ぶ微分方程式が、大学1回生で学ぶ最も難しいタイプのものになります。

これまでの微分方程式の復習はこちら⇒1階線形微分方程式2階線形微分方程式

 

手順は長くなりますが、丁寧に計算していけば必ず解けるようになります。それではいきましょう。

定数係数2階線形微分方程式

最終目標は、

$$y^{\prime\prime}+py’+q=f(x)$$

の形の微分方程式を解くことです。しかし、このままでは解くことができません。

まずは、1階線形微分方程式を解くときと同じように、同次形の解を求めていきます。

特性方程式とは

\(y^{\prime\prime}+py’+q=0 (p,qは実定数)\)に対して

$$二次方程式:t^2+pt+q=0$$

を、特性方程式と呼ぶ。

 

導関数を文字に置き換えた二次方程式を特性方程式といいます。

この二次方程式の解によって、元の微分方程式の解の振る舞いが変わります。

 

\(y\)を複素数値関数\(y(x)=u(x)+iv(x)\)とすると、元の方程式の左辺は

$$(u^{\prime\prime}+pu’+qu)+i(v^{\prime\prime}+pv’+qv)$$

となるので、\(y(x)\)が解ならその実部・虚部ともに解です。

そこで、\(y=e^{\alpha x} (\alpha:複素数)\)とおくと

$$y^{\prime\prime}+py’+q=(\alpha ^2+p\alpha +q)e^{\alpha x}$$

となることから、次が成り立ちます。

定理:特性方程式と一般解

方程式\(y^{\prime\prime}+py’+q=0\)の一般解は次のようになる。

特性方程式が

\[
\begin{cases}
(1)&異なる2つの実数解\alpha, \betaをもつとき、 y=C_1e^{\alpha x}+C_2e^{\beta x} \\
(2)&重解\alpha (=-\frac{p}{2})をもつとき、 y=(C_1x+C_2)e^{\alpha x} \\
(3)&虚数解a\pm bi (b\not =0)をもつとき、 y=e^{\alpha x}(C_1\cos bx+C_2\sin bx)
\end{cases}
\]

元の微分方程式\(y^{\prime\prime}+py’+q=f(x)\)の余関数(同次方程式の一般解のことです)は上の定理で与えられます。

 

したがって、一つの解(特殊解)が分かれば非同次方程式の一般解を得ることができます。

ここからは特殊解を求めていきます。

 

演算子法による特殊解の導出

以下、α,βは一般に複素数を表すものとします。

微分演算子法

特殊解を比較的簡便に求める方法です。この方法では、d/dxをDとかきます。

すなわち、Dを作用させることは1回微分することを表します。逆に1/Dを作用させることは1回積分することを表します。

 

\(D-\alpha\)は、微分可能な関数\(y\)に\(y’-\alpha y\)を対応させる演算子を表す。

積\((D-\alpha)(D-\beta)\)は、最初に\(D-\beta\)を、次に\(D-\alpha\)を作用させる演算である。

このとき、明らかに次式が成立する。

$$(D-\alpha)(D-\beta)=(D-\beta)(D-\alpha)=D^2-(\alpha +\beta)D+\alpha\beta \left( D^2=\frac{d^2}{dx^2} \right)$$

 

複素係数線形微分方程式:\((D-α)y=g\)の解\(y\)を、形式的に

$$y=(D-\alpha)^{-1}g=\frac{1}{D-\alpha}g$$

とかき、\((D-\alpha)^{-1}\)は関数\(g\)に上記の解を対応させる演算子を表すとする。このとき、

$$(D-\alpha)(D-\beta)^{-1}=(D-\beta)^{-1}(D-\alpha)$$

 

以上の性質を用いて、特殊解を求めます。

 

特性方程式\(\phi (t)=t^2+pt+q=0\)の2解を\(\alpha, \beta\)とおく。すると

$$\phi (D)y=(D^2+pD+q)y=(D-\alpha)(D-\beta)y=f$$

 

α≠βのとき、複素解yは次のように表されます。

\[
\begin{align*}
y&=\frac{1}{(D-\alpha)(D-\beta)}f \\
&=\frac{1}{\alpha -\beta}\left( \frac{1}{D-\alpha}-\frac{1}{D-\beta}\right)f \\
&=\frac{1}{\alpha -\beta}\left( e^{\alpha x} \int e^{-\alpha x}f(x)dx-e^{\beta x} \int e^{-\beta x}f(x)dx \right)
\end{align*}
\]

これは(D-α)(D-β)を作用させてみれば、解であることがわかります。

 

α=βのときは、

\[
\begin{align*}
y&=\frac{1}{(D-\alpha)^2}f=\frac{1}{D-\alpha}\left( \frac{1}{D-\alpha}f \right) \\
&=e^{\alpha x}\int \left( \int e^{-\alpha x}f(x)dx \right)dx
\end{align*}
\]
となります。

特殊解の分類

\(f(x)\)が代表的な関数であるとき、特殊解\(y\)の形を調べてみましょう。

以下では、α,β≠0すなわちφ(0)≠0とします。

 

最初に、λ(≠0)を複素数として

$$\int e^{\lambda x}x^ndx=\frac{1}{\lambda}e^{\lambda x}x^n-\frac{n}{\lambda}\int e^{\lambda x}x^{n-1}dx$$

$$\int e^{\lambda x}P_n(x)dx=e^{\lambda x}×(複素係数n次多項式)$$

となることを述べておきます。以下、\(P_n, Q_n, R_n\)はn次多項式を表します。

 

$$(A). f(x)=P_n(x)のとき$$

$$y=Q_n(x)$$

 

$$(B). f(x)=P_n(x)e^{ax} (a\not =0)$$

・\(a\)≠α, βのとき、

$$y=e^{ax}Q_n(x)$$

・\(a\)=αのとき、

$$\alpha\not =\betaならば、y=e^{ax}Q_{n+1}(x)$$

$$\alpha =\betaならば、y=e^{ax}Q_{n+2}(x)$$

 

$$(B’). f(x)=e^{ax} (a\not =0)$$

・\(a\)≠α, βのとき、

$$y=e^{ax}/\phi (a)$$

・\(a\)=αのとき、

$$\alpha\not =\betaならば、y=xe^{ax}/(\alpha-\beta)$$

$$\alpha =\betaならば、y=x^2e^{ax}/2$$

 

$$(C). f(x)=P_n(x)\cos bx または P_n(x)\sin bx (b\not =0)$$

\(y^{\prime\prime}+py’+q=P_n(x)e^{ibx}\)を考える。

この特殊解として、(B)より

$$ib\not =\alpha,\betaならば、e^{ibx}×(n次多項式)、ib=\alphaならば、e^{ibx}×((n+1)次多項式)$$

を得る。

 

\(P_n(x)e^{ibx}\)の実部または虚部が表記の\(f(x)\)であるから、求める特殊解は

$$ib\not =\alpha,\betaのとき、y=Q_n(x)\cos bx+R_n(x)\sin bx$$
$$ib=\alphaのとき、y=Q_{n+1}(x)\cos bx+R_{n+1}(x)\sin bx$$

 

まとめページ

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