別の記事(ラプラス変換で微分方程式を解く)でも簡単に紹介したが、ラプラス変換について改めて学んでいこう。
ラプラス変換の定義
関数f(t)のラプラス変換を次式で定義する。
ただし、sは複素数である。右辺の積分をラプラス積分と呼ぶ。
ラプラス変換の存在条件
ラプラス変換は広義積分になっており、収束するためには上に有界でなくてはならない。
指数α位
\(~~~~|f(t)|\le Me^{\alpha t} (0\le t\lt \infty)なるM(>0)および\alphaが存在するとき、\)
\(~~~~f(t)を指数\alpha位という\)
これを用いて、ラプラス変換の存在条件を次のように表現できる。
$$関数f(t)が[0, \infty)で連続かつ指数\alpha位であるとき、$$
$$s>\alphaなるすべてのsでラプラス変換可能である。$$
(証明)
\(|f(t)|\le Me^{\alpha t}のとき、\)
\begin{align*}
\left|\mathcal{L}[f(t)]\right|&=\left|\int_0^{\infty}f(t)e^{-st}dt\right|\le\int_0^{\infty}|f(t)|e^{-st}dt \\
&\le\int_0^{\infty}Me^{\alpha t}e^{-st}dt=\int_0^{\infty}Me^{(\alpha-s)t}dt \\
&=M\frac{1}{\alpha-s}\left[e^{(\alpha-s)t}\right]_0^{\infty}=\frac{M}{s-\alpha}
\end{align*}
\]
上に有界なので、ラプラス変換の広義積分としての存在が示された。
(証明終)
逆ラプラス変換
関数F(s)から元の関数f(t)を求めることを、逆ラプラス変換という。
逆ラプラス変換は、次式で定義される。
$$f(t)=\mathcal{L}^{-1}[F(s)]=\lim_{p\to\infty}\frac{1}{2\pi i}\int_{c-ip}^{c+ip}F(s)e^{st}ds$$
右辺の積分をブロムウィッチ積分と呼び、複素積分である。
この積分を実行する場合、留数定理を応用することで(比較的)簡単に計算することができる。
ラプラス変換の性質
ラプラス変換は、以下の性質をもつ。
線形性
関数f(t)、g(t)と、tに無関係な定数a、bがあるとき
が成り立つ。
同様に、逆ラプラス変換についても
$$\mathcal{L}^{-1}[aF(s)+bG(s)]==af(t)+bg(t)$$
が成り立つ。
相似性
ある定数a>0に対して
$$\mathcal{L}[f(at)]=\frac{1}{a}F\left(\frac{s}{a}\right)$$
が成り立つ。
(証明)
\(u=atとおくと、t=\frac{u}{a}、dt=\frac{1}{a}duなので\)
(証明終)
具体的な関数のラプラス変換については、以下の記事で計算している。
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