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バウシンガー効果とは

引張-圧縮、圧縮-引張のように、変形途中で負荷方向が反転するときなどに観察されるバウシンガー効果について解説する。

バウシンガー効果とは

ある方向に予変形を受けた材料に対し、一度除荷したあと再び同じ方向に負荷を与えた場合、再負荷時の降伏応力は除荷前の応力とほぼ同等になる。

引張-除荷-再引張の場合は下図のようになる。

引張除荷

 

しかし引張-圧縮のように負荷方向が反転する場合には、再負荷時の降伏応力が低下する現象が発生する。これをバウシンガー効果(Bauschinger effect)という。

引張-圧縮試験の応力ひずみ線図をみてみよう。

バウシンガー効果材料に引張荷重を与え、約10%変形させた後に圧縮荷重を与えた。

反転直前の応力を\(\sigma_1\)、反転後の降伏応力を\(\sigma_2\)とすると

$$|\sigma_1|\gt|\sigma_2|$$

となる。

等方硬化材料であれば、変形経路に依存して降伏応力が低下する現象は発生しない。しかし実際の材料はひずみ経路に依存する異方硬化挙動を示す。

 

バウシンガー効果のメカニズム

反転負荷でバウシンガー効果が発生する要因の一つとして、転位の堆積により発生する内部応力の働きがあると考えられている。

金属材料が塑性変形するとき、内部では転位が運動している。転位は結晶粒界などに堆積し、応力場を形成するため後続転位の運動を妨げる働きをする。これが加工硬化の一因になる。

転位と加工硬化

これは同じ方向に荷重がかかっている場合である。

ある方向に変形して転位が堆積した状態で、荷重を逆方向にかけたとする。このとき、転位の運動方向は逆方向になる。

転位と背応力

すると、堆積転位からの応力は転位の運動を助ける方向に働くことになるため、反転後は転位の運動に必要な応力が低下する。

これがバウシンガー効果のミクロな発生メカニズムと考えられる。

また、このように転位の堆積に起因して発生する反力を背応力(back stress)という。

 

まとめページ

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